フリーランスエンジニアで個人開発者の、のすけ(@nosuke926)です。
先日個人で開発しているアプリの買収提案をとある企業からいただいたので、その際のお話を紹介したいと思います。タイトルにもある通り、結論としてはお断りしました。
お断りした経緯も含めてお話できればと思います。
最近は個人開発サービスの企業買収も増えてきており、以下のような個人開発サービスの売却ニュースは話題になりましたね。
- MENTA(オンラインメンターサービス)
→ランサーズ株式会社が買収
ランサーズ、オンラインメンターサービス「MENTA」の運営会社をグループ化ランサーズ株式会社のプレスリリース(2020年10月8日 09時58分)ランサーズ、オンラインメンターサービス「MENTA」の運営会社をグループ化 - Zenn(技術情報共有サービス)
→ クラスメソッド株式会社が買収
クラスメソッド、技術情報共有サービス「Zenn」の買収に関する契約を締結〜誰かのために、自分のために知見を共有するプラットフォームの開発を加速〜 | クラスメソッド株式会社クラスメソッド、技術情報共有サービス「Zenn」の買収に関する契約を締結〜誰かのために、自分のために知見を共有するプラットフォームの開発を加速〜 - Skeb(コミッション支援サービス)
→株式会社実業之日本社が買収
イラストコミッションサービス「Skeb」を運営する株式会社スケブ、株式会社実業之日本社による買収のお知らせ株式会社スケブのプレスリリース(2021年2月12日 12時00分)イラストコミッションサービス「Skeb」を運営する株式会社スケブ、株式会社実業之日本社による買収のお知らせ - 280blocker(広告ブロックサービス)
→トビラシステムズ株式会社が買収
トビラシステムズ、非連続の成長にむけたM&A戦略における初の案件 広告ブロックサービス280blockerを完全子会社化トビラシステムズ株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社⻑:明⽥ 篤、証券コード:4441、以下「トビラシステムズ」)は、合同会社280blocker(以下「280blocker」)と譲渡契約を8月31日に締結し、完全子会社化いたしました。これによりトビラシステムズは、迷惑情報フィルタ事業において迷惑電話・SMSの... - Taxnote(会計アプリ)
→ freee株式会社が買収
記帳アプリ Taxnote提供の合同会社ノンモ 完全子会社化 および吸収合併のお知らせ | プレスリリース | フリー株式会社記帳アプリ Taxnote提供の合同会社ノンモ 完全子会社化 および吸収合併のお知らせ
上記は割と大型の売却ですが、規模が小さい売却(10万円〜)を含めると毎年かなりの数の個人開発サービスが企業に売却されていると思います。
大型売却の場合はニュースになることが多いですが、小規模なアプリ売却の話は中々表には出ないです。
これから個人開発を始める人や最近個人開発を始めた人の参考になればと思います。
個人開発を数年(まじめに)やっているとたまに問い合わせやDMをいただきます。
そのひとつが「アプリの買収提案」でした。
お問い合わせをいただいたアプリは「さぶすく」というサブスクリプションをシンプルに管理するアプリです。
アプリリリース時の記事はこちらです。
https://yaba-blog.com/flutter-app-release/
売却依頼が来た理由
私が運営しているアプリと、先方が運営しているメディアに親和性があり、「さぶすく」を買い取りたいとメールをいただきました。
社内で新規に開発するよりは、既存のアプリを買収することでコストカットを図りたいとのことでした。
売却を断った理由
売却を断った理由は大きく二つあります。
売却金額の低さ
正直に言うと、売却を断った理由の大部分は売却金額の低さでした。
先方の提案金額が100万円以下だったため、アプリのアカウント移行の手間を含めると金額的に採算が取れないためお断りさせていただきました。
これなら個人でアプリをグロースさせた方が長期的にはプラスになると考えました。
継続開発の不安
売却の話をしていたのが営業の方だったこともあり、技術的な部分の認識がずれていたためアプリ譲渡に時間がかかりそうだと感じました。
また認識の齟齬が原因で譲渡中にトラブルが発生する可能性もありました。
今後継続して開発していくのかも不透明で、その点も不安でした。
このようなコストと売却金額の低さを含めて考えた結果、お断りした感じです。
アプリ売却のメリット
個人開発者がアプリ売却を経験するメリットは3つあると思っています。
まとまったお金が入ってくる
売却というと真っ先に思い浮かぶのが「お金」かなと思います。実際に売却することで毎月の収入以上のまとまったお金が手元に入ります。
これらを新規アプリの開発資金にしたり、既存アプリのグロースのために投資することが可能です。
アプリ譲渡の経験ができる
アプリ譲渡はやるべきことがたくさんあります。
- アプリの名義変更(個人名→企業名)
- アプリに紐づくバックエンドサービスの譲渡(私は課金処理サービスにRevenueCat、サーバーサイドにFirebaseを使用しているのでこれらのプロジェクトの譲渡が必要)
その他実際にアプリを譲渡するとなると考えることが多数あります。
これらの経験は個人開発でも、企業に勤めていてもなかなか経験することができません。
このような貴重な経験は今後の開発にも活きると思います。
「アプリ売却した」という実績・肩書きが増える
個人開発者であればアプリを売却したということは大きな実績です。
自己満足ではない、実際に価値のあるプロダクトを作り出したという何よりの証明だからです。
アプリ売却のデメリット
デメリットとしては「自分のアプリではなくなる」ことだと思います。
個人開発者が売却先の企業にジョインして、そのまま開発を続けるパターンもありますが、自分の判断だけでアプリを改善していくことは難しくなります。
自分の考えで開発できるスピード感を失う代わりに、企業の様々なリソースを活用しながらサービスをグロースしていく形ですね。
もともと企業のスピード感の遅さや意思決定のコストが大きいことを不満に感じ個人開発を始めた部分があるので、個人的にはデメリットが大きいです。
企業に買収されるプロダクトを開発するには
企業に買収されているプロダクトに共通している点は、
- 価値を感じてユーザーに使われている
- 実際に収益を生み出している
サービスであることだと感じます。
非常にシンプルですね。。
今後も企業に買収されるような価値あるプロダクトを個人開発していきます。
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